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2007/11/18 [ Observatoire ]

プゾー製エボーシュ(Peseux 260 ébauche)

プゾー製エボーシュ Peseux 260とは、カリ・ヴティライネンがオブセルヴァトワールのムーブメントエボーシュに使用したクロノメータームーヴメントです。


天文台主催のクロノメーターコンクール用に開発され、1943年から1971年まで約25年間生産されましたが、生産量はわずか3,302機と言われています。天文台コンクールを制し、商業用としてはいっさい量産されなかったため、一般に市場には流通しなかった幻の名機です。


直径13.3mmの大きなテンワは毎時18,000振動のロービートでありながら、わずか週差1/10秒という精度を記録し、今日の機械式時計において同レベルのものは存在しないでしょう。


その名機をもとに、ブリッジデザインやフリースプラング他、カリ・ヴティライネンの磨き抜かれた技術とデザインセンスによってクロノメーター オブセルヴァトワールのムーヴメントが完成されています。


類まれな歴史的キャリバーに加えて、カリ・ヴティライネンは、極めて希少でユニークなヒゲゼンマイを採用しました。この特別なヒゲゼンマイは、バネの外側には高級時計によく用いられるブレゲの巻き上げヒゲ、重要な内端カーブにはグロスマンカーブが使われています。


グロスマンは、20世紀初頭、ル・ロックルの時計製造学校の教師であり、バネの外側の巻き上げヒゲと同等の配慮を、ヒゲゼンマイの内端カーブに向けるテクニックを確立しました。


今日では、グロスマンカーブは使用されなくなりほとんど知られていませんが、"オブセルヴァトワール" リストウォッチは、今世紀、グロスマンカーブを初めて使用した腕時計として注目されています。

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