カリ・ヴティライネンは、ピラーホイール機構を搭載したマスターピース クロノグラフを製作しました。

レギュレータースタイルのダイアルを採用し、視認性に支障を与えない、極めて細いクロノ針がおのずと強調されるデザインに仕上げています。

ロゼット模様に装飾した18Kゴールド製ダイアルは、18世紀の技法を踏襲したハンドメイドです。

ダイアル上に非対称的に配したスモールセコンドと30分積算計のインダイアルにギョーシェ技法を施しています。

受け、バネ、レバー、ピラーホイールほか多くのパーツは、手仕事で面取りされています。

受けの表面は18Kゴールドメッキ、フロステッド仕上げ、地板はサーキュラーグレイン装飾です。

着目すべきは、今日の汎用品と比較した際、ひとつひとつのピラーサイズが微細な作りとなっている点です。これは、修復してきたヴィンテージ ムーヴメントからインスピレーションを得ています。すべての歯とひとつひとつのピラーの外面は手仕事で研磨されています。

すべての歯車には、一般的なイエローゴールド3Nと比べて、より明るい2Nを贅沢に採用しています。ムーヴメントの他のパーツとのコントラストが生じ、視覚的にも新鮮です。一番大きい中真歯車、その次に4番車、円形の開口部があるのはクロノ車で、一番小さいカップリング車。これらの歯車のひとつひとつは、完成するまでにおよそ15の工程を要します。

クロノグラフのハートカム搭載クロノ車は、分送りツメと回転軸からなります。丸窓（斜面上に面取りがされたエッジと鏡面仕上げの開口部の外縁に注目）は、ミニッツカウンターの理想的な調整を可能にするために考案されました。このような完璧な歯車を実現するためには、60以上の工程が積まれています。

ムーヴメントの設計においてもクラシカルなヴィンテージピースから発想を得ています。精度が安定した輪列の高いパフォーマンス性で、リッチなキャリバーにデザインされています。甲高で重厚な香箱がこのムーヴメントのテクニカルコンセプトを可能にしています。周密なデザイン性と長い持続時間、安定したエネルギー供給力を併せ持ちます。カップリングレバーから4番車受けへと延長線上に続くデザインは、その接合点が中間車と4番車間で常に一定のコンタクトを保ち、クロノグラフ機構へのエネルギー伝達を最適化することが可能になります。カップリングクラッチには、良質なヴィンテージの懐中時計を喚起させる幅広のS字型バネが採用されています。

トゥールビヨン受けのスタイルに設計されたテンプ受けは、マスロット付きカーボンタイムの清閑な眺めをつくり出しています。開発に6年以上が費やされたマスロット付きカーボンタイムは、現代的なテクノロジー素材と融合した初のシステムで、温度変化や非磁気化の影響を及ぼすあらゆる条件の下にテンワとヒゲゼンマイを集約しました。テンプにソフトな負荷をかけるストップセコンド機能とミニッツレコーダーの作動・停止を制御するスライディングギアが採用されています。

カリ・ヴティライネンは、マスターピース クロノグラフの製作を機に、AHCI独立時計師アカデミー（Académie Horlogère des Créateurs Indépendants）のメンバーに認定されました。

2005年製

＜ムーヴメント＞

手巻き

直径30mm

28石

ピラーホイール

クロノグラフセコンド

30分積算計

カーボンタイム(カーボン製のヒゲゼンマイ、重量調整可能な水晶のテンワ）

毎時21,600 振動

パワーリザーブ約55時間

ジャーマンシルバー(洋銀)製

フロステッド仕上げ

＜針＞

18Kゴールド製

ブルースティール製

＜文字盤＞

エンジンターンド装飾(手彫り)

エッグシェル加工

18Kゴールド製アプライドインデックス

＜ケース＞

直径39mm

18Kゴールド製

両面サファイアガラス

無反射フロントコーティング

3気圧防水

＜ストラップ＞

18Kゴールド製バックル

手縫いのクロコダイル